「温かい生レバー」を普通に食べていた時代があった!
足立の名店「スタミナ苑」豊島氏が語る、ホルモンと肉
■「放るもん」はどう手に入れるか。
ホルモンは闇市の時代からずっと続く伝統的な食材だ。昔は「放るもん=ホルモン」が語源って言われてるように、日本ではほとんど食べられることがなかった。でも、戦後は食料がないし、なんでも売られていた時代だった。食うもんがなかったら、食べるしかないだろう。
「牛肉が嫌い」っていう年寄りはいまでも多い。理由を聞くと、 「牛肉は臭いから」って言う。今の人はあまりわからないかもしれないけど、昔は家畜用の牛を潰して食っていたことがあった。処理技術も発達してなかったし、そりゃあ臭いよ。馬のサラブレッドも硬くて肉は食えたもんじゃない。
最近の肉は個体識別番号がついているから、どこで生まれて、どこで育てられたかってところまで全部わかる。でもね、実はホルモンだけは何産かわからない。ドバーッと一斉にバラして、内臓は一緒くたにしちゃうから、どこのもんだかわからないんだ。
狂牛病以降、内臓は問屋を通さないと絶対に手に入らない仕組みになった。実は牛の内臓ってなかなか手に入らないんだ。
それは供給量が決まっているから。ホルモンだけ欲しいと思ってもさ、牛をしめないと内臓は出てこないだろ。つまり正肉の供給量に左右されるから、簡単には手に入らないんだ。質のいいものならなおさらだね。付き合いのない新参者が欲しいといってもまず分けてもらえない。