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「温かい生レバー」を普通に食べていた時代があった!

足立の名店「スタミナ苑」豊島氏が語る、ホルモンと肉

■「放るもん」はどう手に入れるか。

 ホルモンは闇市の時代からずっと続く伝統的な食材だ。昔は「放るもん=ホルモン」が語源って言われてるように、日本ではほとんど食べられることがなかった。でも、戦後は食料がないし、なんでも売られていた時代だった。食うもんがなかったら、食べるしかないだろう。

「牛肉が嫌い」っていう年寄りはいまでも多い。理由を聞くと、 「牛肉は臭いから」って言う。今の人はあまりわからないかもしれないけど、昔は家畜用の牛を潰して食っていたことがあった。処理技術も発達してなかったし、そりゃあ臭いよ。馬のサラブレッドも硬くて肉は食えたもんじゃない。

 最近の肉は個体識別番号がついているから、どこで生まれて、どこで育てられたかってところまで全部わかる。でもね、実はホルモンだけは何産かわからない。ドバーッと一斉にバラして、内臓は一緒くたにしちゃうから、どこのもんだかわからないんだ。

 狂牛病以降、内臓は問屋を通さないと絶対に手に入らない仕組みになった。実は牛の内臓ってなかなか手に入らないんだ。

 それは供給量が決まっているから。ホルモンだけ欲しいと思ってもさ、牛をしめないと内臓は出てこないだろ。つまり正肉の供給量に左右されるから、簡単には手に入らないんだ。質のいいものならなおさらだね。付き合いのない新参者が欲しいといってもまず分けてもらえない。

次のページ問屋からホルモンが届くのが遅くなった。

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豊島 雅信

とよしま まさのぶ

1958年11月8日生まれ。東京都出身。兄の久博さんが母親と始めた『スタミナ苑』に15歳で加わり、肉修業がスタート。以来、ホルモン一筋45年!

毎晩、閉店後の深夜から、翌日に供する肉とホルモンの仕込み作業を朝方まで続ける。予約が取れない名店として広く知られ、時の首相や著名人、食通が通い続けて並ぶほど。新鮮なホルモンと肉の病み付きになった焼肉ファンが作る行列は、17時の開店2時間前から23時の閉店直前まで途切れることはない。1999年には、アメリカ生まれのグルメガイド『ザガットサーベイ』の日本版で、総合1位を獲得。2018年には『食べログアワード2018ゴールド』受賞。


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  • 豊島 雅信
  • 2018.09.27